私がセルフケアという言葉を知ったのは短大で人生で初めてカウンセリングを受けたときだった
当時大変ストレスが溜まっていてアドバイザーに相談したところカウンセリングをおすすめされたから受ける事になった
アメリカ、特にニューヨークではみんなカウンセリングを気軽に受けに行く
歯が痛いなら歯医者に行くのと同様に何か悩み事があるならカウンセリングを受けに行くといった感じだ
カウンセリングを受けることは全く恥ずかしいことではなく
むしろ自分の悩みに対してカウンセラーと取り組んでいる事は前向きで良い事だと認知されている
こうしてわたしは学校で無料で提供されているカウンセリングを受けに行った
日本であった「心の教室」のイメージとは全く別でたくさんの生徒がここのカウンセリングに通っている様子だった
私の初めてのカウンセリングはハドソン川がよく見えて日のあたりの美しい事務室で行われた
その日ニューヨークでは珍しい晴天で、窓から入ってくる強い光のせいか、私のカウンセラーの第一印象は女神だった
ニューヨークの女神みたいな見た目というわけではなく、オーラが女神のようだったのだ
カウンセリングが始まってまず女神は私の話を真剣に聞いてくれた
私はかなり多忙な生活をしていて常に睡眠不足で、いっぱいいっぱいになっていたことを女神に話した
私は女神に私のグーグルカレンダーを見せて、このように全ての課題に時間を与えて、効率よくこなしているのにどんどんすることが増えていくと説明した
女神は私のカレンダーを見てこう言った
Where is your “Me Time”? – あなたの自分時間はどこにあるの?
もちろん私は”Me Time”を予定に入れていなかったし”Me Time”が何かも知らなかった
”Me Time”とは自分時間のこと
女神は分刻みで予定が入っている私のカレンダーに必ず一日一回15分でもいいから自分時間を入れるように言った
瞑想でも軽いストレッチでもお茶をゆっくり飲むでもなんでもいい
とにかく自分の気持ちよくなれることをする時間が必要
忙しければ忙しい程、自分時間をとることを優先することが大切になってくる
と女神は私に説いた
こうして私は女神から初めてセルフケアについて学んだ
かなり大きな発見だった
単純思考だった私はこれでもうストレスが溜まることはなくなるだろうなどと思っていたが
のちのちセルフケアの継続は思ったよりも難しいことに気づく
学生時代には多忙な生活を続けてストレスが溜まってどうしようもない状態になってからやっと女神の言葉を思い出すということ何回も繰り返した
社会人としてつい最近もセルフケアを疎かにしたことでストレスがひどく溜まってしまい
改めてセルフケアについてもう一度考えてみた
気づいたのは無理をする癖がセルフケアの継続を不可能にする一つの原因であること
基本忙しくない時のセルフケアは余裕だ
休暇中に予定を入れすぎたりしてセルフケアを怠り自分のバランスを崩してしまうことは何度かあったがそれはまたちょっと違う
私は大学生時代に無理を常にしていた生活をしていたので今は無理をする癖を治そうとしていると言っていい
仕事をしていると自分には予想のつかない出来事が起きて予想以上に働かなければいけない時がある
時にはランチ中にも働く必要があるかもしれない
そういった日にこそ、仕事が落ち着いた時にきちんと自分の体調を心身ともに見直して何か自分が喜ぶことをすることあるいは何もしないことが大事だと思う
私は長年何もしないことが苦痛だった
生産性を常に追い求めた生活を続けてきた事による副作用だと思う
しかし今回セルフケアをもう一度見直すに当たって何もしないことの有意義さがやっと理解できるようになった
時には何もしないことが一番のセルフケアになる
何もせずにぼーっとする
ただぼーっとできる時間と空間がある事に感謝する
もちろん小さい子供などがいたら難しいかもしれないが10分くらいでいいのでパートナーや誰かに子供を任せればいいだろう
セルフケアはストレスが溜まってからの処置法ではなく予防法としての方が効果が高くなると思う
つまりライフスタイルの一部として生活に取り込む必要があると実感した
きっとストレスが溜まりづらい人はこれを自然にしているのだろう
お腹が空いたら何か食べる、喉が乾いたら何か飲むと同じで
疲れたら休む
一見簡単なことに思われるが、自分を含め、つい頑張りすぎてしまう人などは
これが案外難しくて疲れていても休まないことを長い間続けて
いずれは心か体に異常が生じてしまうのだ
これを防ぐためには日頃から自分の心身の状態のチェックをする事が必要だ
自分に今の調子はどうかと問いかけて、正直に感じていることを答えて、それに応じる
仕事中は疲れる前に定期的に休憩を取ることも大事だ
昼休みをしっかりとって、もし何かで疲れを感じていたら余程の緊急の仕事がない限り休憩する
セルフケアを生活の一部にしてストレス解消を身近なものにする
これは今の私の課題である